投稿エッセイ集「ありがとうiPod」 > 作品013

こいつが見せる景色。

FMトランスミッターも併用できる、iPod専用カーリモコン。【サン電子】

「何か白いものを持ったシルエットが音楽に合わせて踊る」
そんなCMを初めて見たのはもう3、4年前のことだろうか。
テレビを見ているといきなり流れはじめたそのCMは
「それが何の」CMなのか最初はボクには全くわからなかった。
今でこそ多くの人があの特徴的なシルエットのCMを見れば
iPodのCMだと理解出来るだろうけど、
その当時のiPodの認知度と言えばその程度のものだったのだ。
けれどもその新鮮で強烈にかっこいいCMはボクの頭の中に残り続けた。
これがボクをいつも熱くさせてくれるiPodとの出会いだった。

とりあえずCMの情報だけを頼りにパソコンで検索してみると
「それは音楽を聞くもの、アメリカでは既に大人気の商品」らしい。
だけど先述した通り、その頃はボクの周りでは使っている人はいなかったし
まだまだMDがメインで使われていたので
パソコンで音楽を管理するなんてことはよくわからなかった。
だけど、どうやらこの商品は何千曲もの曲を持ち運べるらしい。
これはもしかするとすごい商品じゃないかということだけはわかった。

「これはどうやらすごいものらしいぞ」
iPodという商品に対してそういうふうにインプットしたボクの脳が
購入を決めるのにはそれからそう時間はかからなかった。
予算の問題でオークションで落札した
少し傷ついたiPodがボクの手元にきたのはそれから数週間後だった。

初めて触るiPod。最初はボクはこいつが頼りなくて仕方なかった。
こんな小さい中に何千曲が収まるとも思えなかったし、
MDやCDのように物として存在しないデータというのは信用が出来なかった。
だけどそんな気持ちはしばらく使っているうちにすぐに消え去った。
こいつをちょいちょいと操作するとすぐに聞きたい曲を歌ってくれた。
たまに固まってどうにも出来ない事もあったけど、それも可愛く思えた。
ボクの中でこいつはただの音楽プレーヤーではなく
常に行動をともにする最高の親友になるのはそう時間はかからなかった。

それ以来、ボクはこいつにぞっこんだ。
大学入試の会場に向かう電車の中、大事な部活の試合の前、
好きな娘を迎えにいく車の中、ひとりで落ち込んでた夕暮れの公園。
いつもこいつはボクのそばにいて力をいっぱい分けてくれた。
写真のアルバムをめくるとその頃の思い出が蘇るように
こいつから流れる音楽にはたくさんの思い出が詰まっている。
ボク自身でさえ忘れてしまっていたようなことも
こいつが時々、ふいに思い出させてくれることがある。
ボクの中では完全に忘れ去っていた
その時の景色をこいつが見せてくれることもある。
そういう時にボクは心からこいつに言いたくなるんだ。

ありがとう、iPod。

FMトランスミッターも併用できる、iPod専用カーリモコン。【サン電子】
作者紹介
著者近影 お名前 ササ・リー
ウェブサイト AfroAngel
自己紹介 ぐだぐだな文章を書き殴るのが好きな自称フリーライターの22歳。
所有するiPod 第3世代iPod 15GB、第1世代iPod shuffle 1GB、第5世代iPod 30GB、第1世代iPod nano 4GB

このページのスポンサー:サン電子株式会社[広告掲載2007年9月20日〜2012年9月19日]


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