【編集後記】アップルはiPodを作りつづける義務がある

iPod

今週、アップルのティム・クックCEOがiPodの販売を止めるような発言をしたと、複数のメディアで伝えられました。
しかしこれは、情報元となっている英語の記事を誤訳した、誤報であると指摘されています。

ユーザがiPhoneへ移行したことにより、全盛期に比べるとiPodの存在感が薄くなっているのは事実です。
iPhoneとiPadが好調なアップルにとっては、iPodは重要なビジネスではなくなったように見えるかもしれません。
それでも直近の3ヶ月間(2013年10月〜12月)で、600万台ものiPodが販売されています。
2013年は新機種の投入が行われなかったにも関わらずです。

絶大な支持を得ていたiPodでも、販売累計200万台を突破するのに、販売開始から2年かかりました。
3ヶ月間で600万台は、けして物足りない数字ではありません。

それにアップルは、音楽の買い方を変えた「iTunes Store」をいまも運営しています。
買った音楽を今後はiPhoneで音楽を聴けといわれても、多機能なiPhoneはあまりに高価です。
(注:現在iTunes Storeで使われているiTunes Plusフォーマットは、他社のAAC対応プレーヤでも再生できます)

最近では電子書籍においてよく言及されることですが、デジタルのコンテンツは、対応する装置がなくなると再生できなくなります。
レコードやカセットテープ、ビデオテープを、いまは気軽に再生することができなくなったように。
しかしレコードやVHS、MDの再生機が姿を消したのは、主流のメディアではなくなり、利用者が少なくなってからです。
もしいま、iPodの生産を止めるなんて言い出したら、あまりに時期尚早で非難されるべきです。
将来、再び音楽の買い方・聞き方を買えるような革命が起こらないかぎり、iTunes Store + iPodの組み合わせは続くでしょう。

デジタルの音楽フォーマットも、いつかは変わり、現在利用されているようなものは廃れていくでしょう。
それまでの間iPodを作りつづけることが、音楽文化に革命を起こし、あまたの作品を配信形式で世の中に送り出したアップルの、責任であり義務だと思うのです。

iPodのカタログ

2001年に発売された初代iPodを懐かしむ記事はこちら。
iPod発表10周年記念企画・初代iPodを振り返る

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