Appleの役員(シニア・バイス・プレジデント)のひとりであるアンジェラ・アーレンツ氏が、4月で退社するそうです。
アーレンツ氏は直営店のApple Storeと、オンラインストアを担当する責任者でした。
後任は、現在は人事を担当しているディアドラ・オブライエン氏が兼任するそうです。
プレスリリース:Apple、ディアドラ・オブライエンをリテールおよび人事担当シニアバイスプレジデントに任命 – Apple (日本)
バーバリーのCEOだったアーレンツ氏がAppleに参画したのは、2013年10月のことです。
当時のプレスリリース:アンジェラ・アーレンツ、直営店およびオンラインストア担当シニアバイスプレジデントとしてAppleに入社 – Apple (日本)
この5年間でApple Storeがどう変わったのか、日本の動きを中心に振り返ってみようと思います。
2014年6月:Apple表参道がオープン
表参道以前の国内のApple Store 7店舗は、2003年〜2006年に、集中的にオープンしました。
その後2014年に表参道がオープンするまでは、8年間も新店舗がない停滞期が続いていました。
日本のユーザには嬉しい、ひさしぶりの新店舗だったApple表参道ですが、計画・建設の期間を考えると、アーレンツ氏の功績かどうかは疑問もあります。
アーレンツ氏はApple表参道のオープン当日にも、来日して姿を見せています。
2016年:Lucky Bagの廃止
一部のApple Storeのオープン時に販売され、2005年からはお正月の恒例となっていた「Lucy Bag」(福袋)が、2016年には販売されませんでした。
廃止の理由として、“全世界で均質なサービスを提供するという目的のため”というAppleのコメントが伝えられています。
参考:アップルストアの「Lucky Bag」、2016年は発売せず – ITmedia PC USER
2016年5月:Apple Storeが新デザインに。店舗名から「Store」が消える
2016年5月にサンフランシスコにオープンした「Apple Union Square」から、Apple Storeのデザインが新しくなりました。
巨大なディスプレイ「ビデオウォール」を備え、それまでのGenius Barの専用カウンターが廃止されるなど、Apple新宿や京都でも採用されているフォーマットが登場しました。
「Apple Store 〇〇」だった店舗名から「Store」が省かれ、国内のストア名も順次リニューアルされました。
2017年4月:「Today at Apple」がApple Store全店に拡大
#TodayatApple live around the world this weekend! 4,000 daily sessions, free & open to everyone, everyday. https://t.co/NMAVfZrdT3 pic.twitter.com/q2j7ahvmoH
— Angela Ahrendts (@AngelaAhrendts) 2017年5月16日
Today at Appleは当初、上記のApple Union Squareなど一部店舗で実施されました。
それが従来のワークショップを置き換える形で、世界中のApple Store全店舗に拡大されます。
ワークショップは以前から行われていたので、名称のリニューアルとも言えます。
Today at Appleへのリニューアル以降は、国内では音楽ライブやトークイベントが減ったのが残念でもあります。
2018年3月:国内Apple Storeに急展開。複数店舗を新規オープン・リニューアル開始
Japan is a special place for me, and for Apple. Home to our first international store (Ginza), my first opening at Apple (Omotesando), and now we’re honored to kick off a major retail expansion with several new stores in the coming years. https://t.co/z6ySlEXN4s pic.twitter.com/XBaujwFxhu
— Angela Ahrendts (@AngelaAhrendts) 2018年3月22日
2018年3月に、唐突にApple新宿のオープンが発表されます。
日経新聞でアーレンツ氏のコメントが伝えられ、“今後5年間で複数の新店開業と既存店の大幅改装を行う”という計画が明らかにされました。
米アップル、日本に再投資 店舗を人が集まる広場に :日本経済新聞
これは2020年東京オリンピックに向けた施策なのでしょう。
昨年は新宿と京都が新規オープンし、渋谷がリニューアルオープンしました。
今年以降の動きとしては、神奈川に新規オープン、東京都内にさらに追加、福岡天神の移転リニューアルが予想されています。
札幌と仙台一番町の閉店
国内のAppleファンにとっては、いいことばかりではありませんでした。
2016年2月にはApple Store札幌、今年1月にはApple仙台一番町が閉店しています。
アーレンツ氏の就任時は7店舗だった国内ストアは、きょう現在は8店舗になっただけです。
また2015年にApple Watch登場と同時にオープンしたApple Watch at Isetan Shinjukuも、2018年に閉店しています。
以上です。
シカゴのApple Michigan Avenueや、ミラノのApple Piazza Libertyなど、都市景観と一体化した美しいストアができたのも、印象に残っています。
アーレンツさん、何はともあれ、おつかれさまでした。
Appleに30年間も勤務しているという、後任のディアドラ・オブライエン氏が、どのように手腕を発揮するかも楽しみです。