iPhoneの音声をイヤホンで聞きながら映画を見るという、はじめての体験をしてきました。
Perfumeの映画「Reframe THEATER EXPERIENCE with you」を鑑賞してきたときのことです。
これは昨年開催されたライブ「Reframe2019」の録画映像を、劇場公開するものです。
9月4日〜17日までの、2週間限定の劇場公開です。
公式サイト:映画『 Reframe THEATER EXPERIENCE with you 』特設サイトReframe THEATER EXPERIENCE with you
映画館で副音声、どうやって?
この映画には、鑑賞しながら解説が聞ける副音声が用意されています。
テレビやDVDでは、副音声によるオーディオコメンタリーがよくありますが、劇場映画でそんなことができるとは。
どうやって実現しているのかというと、Palabra株式会社の「UDCast(ユーディーキャスト)」というiPhone/スマートフォンアプリを使います。
公式サイト:UDCast – 全てのコンテンツに字幕と音声を
あらかじめアプリ内に、音声コンテンツのデータをダウンロードしておきます。
映画が始まる前に、アプリを立ち上げて、イヤホン・ヘッドホンを身につけます。
映画の音声をデバイスのマイクで認識し、進行状況が自動で同期されるので、映画と副音声がズレることなく楽しめます。
映画を見ながらiPhoneを使うの? と不安はありました。
しかし実際に体験してみると、いろいろと配慮がされていて、不安は払拭されました。
まず音声コンテンツは、事前にアプリ内にダウンロードしておきます。
会場にWi-Fiがなくても導入できるし、回線状況により遅延する心配もありません。
使用中の画面は暗くなり、周りのお客さんの迷惑にならないようにデザインされています(配慮は必要です)。
イヤホン・ヘッドホンを接続していないと、音声が流れないようになっています。
うっかりiPhoneのスピーカーから音がでるという、事故が起こることがありません。
「音声のズレや停止を防ぐため」として、機内モードにするように案内されます。
機内モードにすれば、鑑賞中の着信による、着信音やバイブレーション、画面点灯を防ぐことにもなります。
Bluetoothヘッドホン・イヤホンを使うなら、機内モードにしつつ、Bluetoothはオンにする必要があります。
機内モードオン > Bluetoothオン > AirPodsを装着 > 副音声の準備 という順序がいいでしょう。
AirPodsを使うなら「Pro」がおすすめ
副音声を聞きながらも、映画の音を聞く必要があるので、あえて遮音性のないAirPodsで臨んでみました。
しかしこれは失敗でした。
映画本編の音楽が大きすぎて、iPhoneの音量をかなり上げないと、副音声が聞こえにくかったのです。
これから体験する予定の方は、カナル型(耳栓型)イヤホンのような、ある程度の遮音性があるものをおすすめします。
AirPods Proを使うとしたら、「ノイズキャンセリング」「外部音取り込み」「オフ」の、どのモードが良いかは、試してみないと何とも言えません。
Perfumeの映画の副音声には、メンバー3名による「おしゃべり副音声」と、Rhizomatiksの真鍋大度氏・石橋素氏による「技術解説」の2種類があります。
私は今回は「おしゃべり副音声」を選びました。
その名のとおり、「解説」というよりは好きに「おしゃべり」している類のもので、大いに楽しめました。
時間があれば「技術解説」も聞きに行きたいです。
ちなみにPerfumeのあ〜ちゃんは、2種類の副音声を左右の耳で同時に楽しんだそうです。
真似するなら2組のiPhoneとヘッドホンが必要です。
参考:劇場版「Reframe」前夜祭にPerfume登壇、2種類の副音声を同時に聴くあ~ちゃんスタイルにのっち驚愕(イベントレポート) – 音楽ナタリー
UDCastは映画を「バリアフリー」にするシステム
今回の副音声に使われている「UDCast」。
これは本来は、“映画や放送番組、Web動画、演劇やパフォーマンス、展示施設等のあらゆる文化芸術を、障害や言語の壁を越えて誰もが楽しめるものにすること”を目指して開発されたものだそうです。
このシステムを使って、聴覚障害者用の字幕や手話映像、視覚障害者用の音声ガイド、外国人向けの多言語字幕を提供できるというわけです。
今回のPerfumeの映画「Reframe〜」でも、2種類の副音声のほかに、「バリアフリー音声ガイド」も提供されています。
映画作品によっては、音声ガイドや字幕をつけた「バリアフリー上映」が行われていますが、この「UDCast」システムを使えば、より柔軟に、バリアフリーのコンテンツを提供でき、だれでも一緒に映画を見られます。
iPhone/スマートフォンのアプリを使って、このようなアクセシビリティが実現されていることに、感心させられました。