【編集後記】心電図計を備えたApple Watchが「医療機器ではない」理由。医療機器として承認されたのはハードではなくソフト

Apple Watchは医療機器ではありません

2018年9月に心電図(ECG)機能を備えたApple Watch Series 4が発売されてから2年半。
ようやく日本でも、Apple Watchで心電図計が使えるようになりました。

心電図計としての機能を提供するには、国の機関に医療機器として承認される必要があります。
米国でさえ、Apple Watch Series 4の発売当初から心電図計を使えたわけではありません。
発売から3か月後の、watchOS 5.1.2アップデートで、心電図アプリが有効になりました。
最初は米国だけでしたが、その後各国で認可が進んだのか、対応国が拡大していきました。

公式サイト:watchOS – 利用できる機能 – Apple

Apple Watchの心電図機能

では日本でもApple Watchが「医療機器」に承認されたのかというと、正確には違います。
Apple Watchの中で動く「心電図アプリケーション」と「不規則な心拍の通知プログラム」が、管理医療機器として承認されているのです。

ソフトウェアが医療“機器”というのも、違和感がありますよね。
それもそのはずで、家庭用のプログラムを医療機器として承認するのは、このApple Watchの2つの機能が、日本国内初の事例だったそうです。

このApple Watchのために、医療機器として承認するものに「家庭用心電計プログラム」「家庭用心拍数モニタプログラム」というジャンルを新設したのだとか。
ケータイ WatchとMed IT Techに掲載されている、厚生労働省の審査管理課への取材記事で明かされています。

本来なら医療機器の販売店には、届け出や有資格者が求められるのですが、この2つのジャンルは不要とされたそうです。

Apple Watchは医療機器ではありません

そういうわけでApple Watchというハードウェアは、医療機器に承認されているわけではありません。
公式サイトでも『Apple Watchは医療機器ではありません』と書かれています。
ニュースリリースにも『心電図アプリケーションおよび不規則な心拍の通知機能は、日本において、それぞれ管理医療機器(家庭用心電計プログラム)および管理医療機器(家庭用心拍数モニタプログラム)として厚生労働大臣から承認を受けています』と書かれています。

ニュースリリース:Apple Watchに心電図アプリケーションと不規則な心拍の通知機能が登場 – Apple

厚生労働大臣の承認の説明

Apple Watch本体が「医療機器」に承認されるのは、やはり難しかったんですね。
前例のない対応を経て、日本でも心電図が使えるようになったというのは驚かされました。
きっと実現のために尽力された方がいるのでしょう、お礼を言いたいです。
Apple Watchに命を救われたという事例が、海外ではたくさんあるようです。
日本でも多くのひとに、心電図対応のApple Watchを使ってほしいです。

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