Appleから発売されている「MagSafeバッテリーパック」をレビューします。
iPhone 12/12 ProシリーズのMagSafeシステムに対応する、モバイルバッテリーです。
マグネットでiPhoneに吸着させるだけで、ワイヤレス充電ができます。
▲ AppleはiPhone 6s用、iPhone 7用、iPhone XS/XS Max/XR用、iPhone 11/11 Pro/11 Pro Max用に、純正のバッテリーケース「Smart Battery Case」を発売してきました。
しかしiPhone 12/12 Proシリーズ用には、Smart Battery Caseは用意されていませんでした。
iPhone 12シリーズの発売から約9か月を経た2021年月に、「MagSafeバッテリーパック」が発表されました。
MagSafeシステムを搭載したiPhone 12/12 Pro向けに、Smart Battery Caseのかわりに用意された、磁石でくっつくモバイルバッテリーです。
iPhone 12とiPhone 12 mini、iPhone 12 Pro、iPhone 12 Pro Maxに対応しています。
MagSafeシステムを採用した後継のiPhoneにも、引き続き利用可能になると思われます。
カラーバリエーションがあったSmart Battery Caseと違って、MagSafeバッテリーパックはホワイト1色だけです。
これはAirPodsやUSB電源アダプタなどのApple純正アクセサリが、ホワイト1色しかないのに倣ったものと思われます。
▲ マグネットで吸着する類似の製品は、サードパーティからも多数発売されています。
この「MagSafeバッテリーパック」は、純正ならではの様々な機能を備えています。
- iPhoneにくっつけるだけで充電。給電開始ボタンは無い
- iPhoneの画面でバッテリー残量を確認できる
- 電源アダプタ併用で、最大15Wのワイヤレス充電器として使える
- Lightningケーブルで充電中のiPhoneに接続すると、MagSafeバッテリーパックが充電される
▲ 外装はポリカーボネート素材です。
丸みをおびた形状と、マットなホワイトで、Appleらしい上質な仕上がりです。
▲ iPhone 12 miniにも対応するために、サイズはコンパクトです。
カードケース「MagSafe対応iPhoneレザーウォレット」に近い大きさです。
▲ iPhoneと接触する内側は、ラバー素材が貼られています。
白いラインの部分は凹んでいます。
▲ 内側の仕上げは、車載ホルダー「Belkin Car Vent Mount PRO with MagSafe」(写真奥)と同じです。
関連記事:【レビュー】Belkin Car Vent Mount PRO with MagSafe:iPhone 12/12 Proシリーズ用のマグネット車載ホルダー
▲ 小さな文字で、充電性能が“1450mAh(7.62V, 11.13Wh)”と記載されています。
iPhone 12/12 Proシリーズ各モデルと合わせて使用した時に、バッテリー駆動時間を以下のように延長できます。
- iPhone 12 mini:最大70%延長
- iPhone 12:最大60%延長
- iPhone 12 Pro:最大60%延長
- iPhone 12 Pro Max:最大40%延長
▲ 底の面に、Lightning端子とLEDランプを搭載しています。
一般的なモバイルバッテリーと違って、給電開始ボタンはありません。
▲ Lightningケーブルと電源アダプタは付属していません。
iPhoneで使っている充電器と同じもので、MagSafeバッテリーパックを再充電できます。
iPhone 12/12 Proを充電する
▲ MagSafeシステムに対応するiPhone 12/12 Proシリーズの背面に、マグネットでビタっと吸着します。
MagSafeアクセサリの中では、磁力は最も強く感じます。
写真はiPhone 12 Proに取り付けたところ。
iPhone 12 miniに取り付けると、本体のラインにフィットします。
▲ iPhoneがロック画面のときに接続すると、充電状況と残量が円形のゲージで表示されます。
▲ 充電状況は、iPhoneの「バッテリー」ウィジェットでも見られます。
▲ iPhone 12 Proがバッテリー残量ゼロでシャットダウンした状態から、MagSafeバッテリーパックでの充電所要時間をはかってみました。
- 30分:iPhone 3%/バッテリーパック 92%
- 1時間:iPhone 11%/バッテリーパック 80%
- 2時間:iPhone 30%/バッテリーパック 44%
- 3時間:iPhone 49%/バッテリーパック 50%
- 3時間30分:iPhone 53%/バッテリーパック 0%
公称値の「最大60%」よりは少ないですが、許容範囲でしょう。
モバイルバッテリーでのワイヤレス充電は低出力のため、充電開始時は安定せず、再起動が繰り返されました。
iPhoneが残量ゼロになる前に、使い始めるのをおすすめします。
iPhoneの残量20%から始めたときは、3時間42分で77%まで充電できました。
より公称値に近い、57%延長できたことになります。
▲ MagSafe対応のマグネット内蔵ケースなら、装着したまま使用できます。
マグネットを内蔵していないケースでも、吸着するかもしれませんが、磁力は弱くて外れやすいので注意が必要です。
iPhoneとMagSafeバッテリーパックを充電する
▲ バッテリーパックに電源アダプタを接続して、iPhoneとバッテリーパックを同時に充電することもできます。
20W以上の電源アダプタの使用が推奨されています。
iPhone 12 Proとバッテリーパックの両方が残量ゼロの状態から、20W電源アダプタでの充電所要時間を測ってみました。
- 30分:iPhone 9%/バッテリーパック 36%
- 1時間:iPhone 19%/バッテリーパック 72%
- 2時間:iPhone 45%/バッテリーパック 79%
- 3時間:iPhone 68%/バッテリーパック 79%
- 4時間:iPhone 80%/バッテリーパック 80%
- 5時間:iPhone 85%/バッテリーパック 90%
- 6時間:iPhone 93%/バッテリーパック 92%
- 7時間:iPhone 96%/バッテリーパック 100%
これ以上の充電はなかなか進まず、10時間たってもiPhoneは100%表示になりませんでした。
80%を超える充電にかかる時間は、iPhoneの「バッテリー充電の最適化」機能によりソフトウェア制御され、使い方や温度によって変わります。
検証時は、室温も高かったことも加えておきます。
また30W電源アダプタでも同じテストをしてみましたが、ほぼ同じ結果でした。
▲ MagSafeバッテリーパックを電源アダプタに接続したままにして、ワイヤレス充電器としても使えます。
充電したままだとバッテリーの劣化などが心配になりますが、Appleでは
“MagSafe バッテリーパックには充電管理機能が備わっていて、MagSafe バッテリーパックを長期間電源に接続したままにしておく場合にもバッテリーの状態を管理してくれます”
と公式サポート情報で解説しています。
逆にiPhoneからMagSafeバッテリーパックを充電することも可能
▲ Lightningケーブルで充電中のiPhoneに、MagSafeバッテリーパックを接続すると、MagSafeバッテリーパックも充電されます。
iPhoneからバッテリーパックをワイヤレス充電できる仕掛けです。
AppleではiPhoneをMacに接続したり、CarPlay接続が必要な際に役立つとしています。
両方がバッテリー残量ゼロの状態から、20W電源アダプタをiPhoneに接続して、充電所要時間をはかりました。
- 30分:iPhone 56%/バッテリーパック 0%
- 1時間:iPhone 80%/バッテリーパック 3%
- 2時間:iPhone 86%/バッテリーパック 17%
- 4時間:iPhone 87%/バッテリーパック 50%
- 7時間:iPhone 90%/バッテリーパック 87%
- 9時間30分:iPhone 100%/バッテリーパック 100%
まずiPhoneが80%充電されてから、バッテリーパックの充電も始まる動作でした。
iPhone 12/12 Pro以外を充電する
▲ Qiでのワイヤレス充電に対応するデバイスなら、iPhone 12/12 Pro以外も充電できます。
たとえばAirPods/AirPods Proのワイヤレス充電ケースも、裏側の円形に重ねると充電できます。
▲ iPhone X以降の、ワイヤレス充電に対応するiPhoneにも対応しています。
ただし充電速度は遅いです。
バッテリーパックには充電開始ボタンなどはありませんが、重ねるだけで認識されて、充電が始まります。
iPhone Lightning Dockと組み合わせて、ワイヤレス充電スタンドを作る
▲ 前述のワイヤレス充電器として使える機能を利用して、Apple純正のiPhone Lightning Dockと組み合わせることで、ワイヤレス充電スタンドを作ることができます。
ただしiPhone Lightning Dockは、数年前から在庫切れが続いていて、実質的に生産・販売は終了しています。
▲ iPhoneをピタッとくっつけて、充電ができます。
MagSafeバッテリーパックの持ち出しにも便利です。
ただしiPhone 12 mini以外は、底部がDockと干渉して、完全には密着しません。
▲ 30W電源アダプタをDockに接続して、充電所要時間を測ってみました。
まずiPhoneが80%近くまで充電され、それから徐々にバッテリーパックが充電されました。
iPhoneの方に電源アダプタを接続したときの挙動に似ていたのが、不思議ではあります。
実験
▲ Apple Pencil(第1世代)は充電できませんでした。
従来のSmart Battery Caseだと、iPhoneと接続しているときは、Apple Pencilを充電できました。
MagSafeバッテリーパックの場合は、iPhoneとの接続・非接続を問わず、動作しませんでした。
▲ iPhoneとMagSafe充電器の両方を電源アダプタに接続すると、それぞれ独立して充電されるだけです。
▲ Macと接続してMacのシステムレポートを開くと、MagSafeバッテリーパックの様々な情報を見られます。
製造IDや、バージョン、シリアル番号、充電性能が表示されます。
▲ MagSafeバッテリーパックのシリアル番号は、iPhoneと接続して、iPhoneの設定 > 一般 > 情報でも見られます。
▲ MagSafeバッテリーパックの利用には、iOS 14.7以降が必要とされています。
それ以前のiPhoneに接続すると、「Generic UPS」というデバイスとして認識されます。
まとめ
対応するiPhoneの後ろにくっつけるだけで充電ができる、画期的なモバイルバッテリーです。
その名のとおり、iPhoneのバッテリーを拡張できるような使い方できます。
バッテリー残量をiPhoneの画面で確認できるので、直感的に使えます。
iPhoneからバッテリーパックを充電できる機能にも驚かされました。
モバイルバッテリーの進化を感じさせる、スマートな製品です。
MagSafeバッテリーパックは以下のオンラインショップで購入できます。
価格は税込14,780円です。