Apple銀座の現在の店舗は、本日8月28日(日)で営業を終了します。
長い歴史を持ち、日本のAppleファンからは「聖地」として愛されているこの店舗も、これで見納めとなります。
明日29日(月)は休業です。
30日(火)からは、銀座8丁目の仮店舗での営業が始まります。
入居しているサヱグサビル本館が、建て替え工事のための、期間限定の仮店舗への移転です。
サヱグサビル本館の完成予定は、2年後の2024年12月27日とアナウンスされています。
完成後には同じ場所に戻ってきて、営業を再開するようです。
Apple銀座の歴史
Apple銀座は、当初は「Apple Store, Ginza」「アップルストア銀座店」として、2003年11月30日にオープンしました。
日本国内で最初のApple直営店で、米国以外では世界初となる店舗でした。
オープン時には、当時のAppleのCEO、スティーブ・ジョブズも来日しました。
オープン記念品として、先着2,500名にTシャツが配布されました。
またiMacとiPod、キヤノン製品の、総額35万6,000円相当のセットが抽選で1名に当たる、モニターキャンペーンも実施されました。
当時のプレスリリース:アップルストア銀座店、11月30日にオープン – Apple
Impressによるオープン告知、内覧会、オープン当日のレポート記事が残っています。
当時の様子を知ることができます。
3階のシアタールームでは、著名人の登壇するイベントが定期的に開催されました。
たとえば坂本龍一や細野晴臣、山田洋次、スパイク・ジョーンズ、大友克洋、樋口真嗣、新海誠、きゃりーぱみゅぱみゅといったクリエイターが登場しました。
デベロッパーによる、MacやiPhoneに対応した新製品やサービスが紹介されることもありました。
このようなイベントは、「Today at Apple」のシステムが採用されてからは、行われなくなりました。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、世界のApple Storeは2020年3月15日から、臨時休業に入りました。
当初は3月27日までとされていましたが、国内のStoreが営業再開されたのは、5月・6月でした。
Apple銀座が営業再開したのは、6月3日です。
営業再開後も、しばらくは短縮営業が行われました。
サヱグサビル本館の建て替え計画が告知されたのは、2021年12月のことです。
移転先の「HULIC &New GINZA 8」はどんな建物?
Apple銀座の公式サイトで、8月30日からの移転先は「銀座8-9-7 HULIC &New GINZA 8」とアナウンスされています。
「HULIC &New GINZA 8」が、入居するビルの名前です。
「ヒューリック・アンニュー・ギンザ・エイト」と読みます。
「アンドニュー」ではなく「アンニュー」です。
「HULIC &New」は、「And」+「New」、“常に「新しい(New)」を付加(&)するクリエイティブ・マインドを大切に”をコンセプトに、ヒューリック株式会社が展開している商業ビルのシリーズ名です。
新宿、渋谷、心斎橋などにも展開されています。
銀座には、6丁目の「GINZA NAMIKI 6」、7丁目の「GINZA 7」に続く3棟目です。
公式サイト:HULIC &New
その「HULIC &New」のうち、Apple銀座が期間限定で入居する「GINZA 8」は、実に特徴的な建物です。
(画像は竹中工務店のサイトより)
竣工のニュースリリースでは、「日本初の耐火木造12階建て商業施設」とされています。
広いとは言えない敷地に、縦に細長い、耐火性・耐久性を備えた木造建築が実現されています。
使われた木材と同等量の植林活動を行うなど、環境に配慮されているのもポイントです。
デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所です。
隈研吾の建築にたびたび見られる、外壁の木製ルーバーが「GINZA 8」にも採用されています。
建物は昨年11月に竣工(完成)しています。
地下1階〜地上12階の、計13フロアです。
公式サイトによると現在入居しているテナントは、最上階の「新橋銀座しらゆり歯科」だけです。
Apple銀座は路面店になるのは間違いないとして、何階まで店舗になるかは、まだわかりません。
仮に1〜3階が店舗になるとして、地下1階や4階も、バックヤードとてAppleが借りるでしょう。
店舗内に階段が設けられたとしても、Apple渋谷のリニューアル後のような、専用のエレベーターまで設置するは難しい気がします。
エレベーターが必要な場合は、ビルのものを使うことになると予想しています。
仮店舗への移転は、日本の直営店では初
Apple Storeが建て替えのために、期間限定で仮店舗へ移転するのは、日本では初となります。
Apple渋谷も大規模リニューアルが行われましたが、333日間の休業期間が設けられました。
Apple福岡は、新しい建物への完全移転でした。
期間限定の仮店舗での営業は、海外ではニューヨークのApple Fifth Avenueなどの前例があります。
Apple Storeの新規オープンやリニューアルの告知に使われるAppleマークは、毎回たのしみのひとつです。
でも今回のApple銀座で使われているマークは、過去のデザインの使い回しです。
米国のApple The Groveや、アラブ首長国連邦のApple Yas Mallが移転リニューアルしたときにも、同じデザインが使われているのです。
でもApple銀座のものは、過去の店舗よりも色をくすませて、日本らしくアレンジされています。
本当の新しいApple銀座はどうなるか?
今回の移転先は、期間限定の仮店舗です。
新しいサヱグサビルは、2年後の2024年12月27日に完成予定です。
「仮設」ではない、本当の新しいApple銀座が、その頃にお披露目されることになります。
待ち遠しいですね。
巨大なガラスと木材を多用した、モダンなストアに生まれ変わることでしょう。
3階のシアターに代わって、1階に巨大なビデオウォールが設置されるのも予想できます。
Apple銀座の名物である、ガラス張りのエレベーターや、屋上の回転看板はどうなるでしょうか?
歴史あるApple銀座の、かつての面影を残すものとして、新店舗にも作って欲しいです。
2018年3月の日経新聞で、国内のApple Storeについて“今後5年間で複数の新店開業と既存店の大幅改装を行う”という「5年計画」が明かされてから、4年半が経過したところです。
古い様式のApple Storeとして残っている、心斎橋と名古屋栄にも手が加えられるでしょうか?
札幌や仙台の復活や、新しいエリアへの出店も、日本のAppleファンは期待しています。