【レビュー】8K 360度カメラ Insta360 X4 / エントリーモデルX3との比較も

Insta360 X4

Insta360 X4」をレビューします。
ポケットサイズの360度カメラの、フラッグシップモデルです。

iPhoneとの連携機能や、Macでの編集ソフトがあり、Apple製品との親和性も高いです。
多機能な製品なので、今回はApple製品ユーザー向けに、「導入ガイド」としてレビューします。

Insta360 X4

同時にエントリーモデルの「Insta360 X3」についても紹介します。
クオリティを追求して上位モデルを選ぶか、買いやすいエントリーモデルにするかの、参考にしてください。
レビューにはメーカー提供品を使用しています。

目次

Insta360 Xシリーズの概要・特徴

Insta360 X4

上下左右のあらゆる方向を撮影できる、360度カメラです。
全天球カメラとも呼ばれます。
まわりの風景をぜんぶ、写真やビデオに収めることができます。

Insta360 X4

360度カメラの中でもXシリーズは「見えない自撮り棒」機能が特徴です。
カメラに取り付けているはずの自撮り棒が、映像では消えて見えます。
第3者が撮影したような視点や、ドローンを使ったような映像を撮影できます。

強力な手ぶれ補正機能を備えたアクションカメラでもあります。
そのままでも10m防水に対応し、専用の潜水ケースを使えば水深50mまで対応します。

2024年4月に発売された最新モデルが「X4」です。
前モデルの「X3」は値下げされて、エントリーモデルとして併売されています。

Apple製品との親和性が高い

Insta360製品は、Apple製品との親和性が高いのも特徴です。
Apple Storeでも製品を取り扱っています(X4は未販売)。

Insta360 X4

iPhoneと連携して、専用アプリでビデオの管理や編集ができます。
iPhoneで映像をプレビューしながら、離れたところから撮影することもできます。

カメラとAirPodsを接続すれば、AirPodsのマイクを使って音声を録音できます。
Apple Watchと連携して、撮影操作をしたり、GPSを使った位置情報の記録や、移動速度・距離を映像に残すことも可能です。

Insta360 STUDIO

Macで360度ビデオを編集できるソフトウェア「Insta360 STUDIO」も提供されています。
X4はApple ProRes 422コーデックに対応し、映像のクオリティを保ちながら編集ができます。
Final Cut Pro用や、Adobe Premiere Pro用のプラグインも公開されています。

360度カメラInsta360 Xシリーズの歴史

おおよそ2年ごとにモデルチェンジをしています。
初代モデルは「Insta360 ONE X」は2018年に発売されました。
第2世代となる「Insta360 ONE X2」は2020年発売です。
IPX8準拠の防水機能を搭載し、防水ケースなしでも水深10mまでの撮影ができるようになりました。

2022年発売の第3世代からは、モデル名から「ONE」が取れて、「Insta360 X3」となりました。
新たに1/2インチセンサーを搭載し、解像度と画質が向上しています。
2.29インチのタッチスクリーンを搭載しました。

2024年4月に発売された「Insta360 X4」は、解像度が最大8Kに到達しました。
内蔵バッテリーの拡大、ディスプレイの大型化、レンズガードが着脱可能になるなどの正常進化を遂げています。

なんて発音する? 「Insta360 X4」「Insta360 X3」の読み方

ブランド名の「Insta360」は、英語では「Insta three sixty(インスタスリーシックスティー)」ですが、日本語では公式に「インスタサンロクマル」と読まれています。
モデル名の「X4」「X3」は「エックスフォー」「エックススリー」です。

Insta360 X4のセット内容

Insta360 X4の「通常版」は、以下のパッケージ内容です。

Insta360 X4

  • X4本体
  • バッテリー(本体に取り付け済み)
  • 標準レンズガード
  • 保護ポーチ
  • レンズクロス
  • 充電ケーブル
  • サーモグリップカバー

microSDカードは付属していないので、必要な容量のを自分で用意する必要があります。
対応する規格があるので、注意してください。
安心して導入できる、Insta360純正品もあります。

メーカー公式サイトでは「スターターキット」「自転車撮影キット」など、さまざまなアクセサリ/オプション品とのセットが用意されています。

Insta360 X4

レンズガードは旧モデルにもありましたが、従来のものは粘着テープで固定するものでした。
X4では回して固定する方式が採用され、着脱ができるようになりました。
レンズを保護したいタフなシーンの撮影では付けておき、画質を追求したい場面では外すという使い方ができます。

別売りオプションとして、強化ガラス素材の「プレミアムレンズガード」(6,000円)も用意されています。
付属の標準タイプより頑丈で、よりクリアに撮影ができます。

レンズガード各種は密閉構造ではないので、雨や水中での撮影時には使えません。

Insta360 X4

「サーモグリップカバー」は、今回はじめて登場したアクセサリです。
iPhoneで4K動画を撮影したときに、本体が熱くなるのを感じたことがある方も多いと思います。
高解像度のレンズで2方向を同時に撮影するInsta360 Xシリーズも、かなり熱くなります。
X4の8K撮影時には、さらに電力消費が多くなり、熱も帯びます。

Insta360 X4

「サーモグリップカバー」は、カメラの表面温度を吸収して、熱を下げる素材が使われています。
持ちやすくもなります。
iPhoneケースのように、衝撃からも守ってくれそうです。

Insta360 X4

「保護ポーチ」は持ち運び用の収納ケースです。
両開きのファスナーにより、自撮り棒などをつけたままでも、X4に被せることができます。

Insta360 X4

内側にレンズガードと、クロスを収納できるポケットがついていて、気が利いています。
レンズガードやサーモグリップカバーをX4に取り付けたままでも収納できます。

Insta360 X4

撮影用マウントなど、別売りのアクセサリも驚くほど充実していて楽しいです。
短いのでも良いので、「見えない自撮り棒」は1本用意しておくのがおすすめです。
手の届かない場所を撮影したりできます。
また自撮り棒をつけておくと、コンパクトなX4を持ち運びやすくなり、本体下部にある撮影ボタンも押しやすくなります。

iPhoneと接続して使いはじめる

Insta360 X4

パッケージのQRコードを読み込むと、専用アプリ、ビデオチュートリアル、ユーザーマニュアルにアクセスできます。

Insta360 X4

最初にすべきことは、microSDカードの取り付けです。
バッテリーパックを外すと、内側にカードスロットがあります。

Insta360 X4

充電端子はUSB-Cです。
電源アダプタは付属していません。
充電端子を覆っている防水カバーを取り外して、外付けオプションの「マイクアダプター」「クイックリーダー」を接続することもできます。

Insta360 X4

電源を入れると、どこかで見たような言語選択画面になります。
上からスワイプすると、iPhoneのコントロールセンターに似たショートカットメニューが出るなど、iOSユーザーには使いやすいインターフェースが採用されています。

iPhoneアプリをダウンロードして接続するように促されます。
画面の指示に従っていくだけで、アクティベーションや、ファームウェアのアップデートができます。
大容量のビデオファイルを転送するために、iPhoneとX4はWi-Fi接続されます。

Insta360 X4

はじめて使うときには、画面に操作説明がでますが、私はとても覚えきれません。
アプリ内や公式サイトで、チュートリアル動画を見ることができます。
ステップを踏みながら使い方を覚えられます。
ただし記事公開時は、動画にはまだ日本語字幕がありません。
X3のチュートリアル動画は、日本語字幕つきで再生できます。

Insta360 X4で撮影する

Insta360 X4

カメラ本体を操作して撮影する方法と、接続したiPhoneのInsta360アプリから撮影する方法があります。
iPhoneを使えば、離れたところから遠隔で撮影したり、自撮り棒の先に取り付けたままでも撮影できます。
Insta360アプリで録画を開始したあとは、iPhoneは別のアプリに切り替えても、録画は継続されます。
X4で録画をしながら、iPhoneのカメラで写真やビデオを撮影することもできます。

Insta360 X4

ビデオを撮影するとき私は、ほとんどの場合、自撮り棒を取り付けています。
やはり「見えない自撮り棒」があったほうが、撮影の幅がぐっと広がるので、必須アイテムと言えます。
自撮り棒のグリップには三脚も取り付けられます。
三脚を内蔵したタイプもあります。

Insta360 X4

Insta360 X4は本体だけでも自立します。
カメラ本体を平らなところに置いて、iPhoneでリモート撮影することができます。
撮影した360度写真がこちらです。

撮影したビデオや写真をシェアするなら、iPhoneのInsta360アプリを使って、一般的な横型・縦型動画にリフレームすることになるでしょう。
動画を編集する方法は複数用意されていて、AIが自動でいい感じの仕上がりを提案してくれるモードもあります。

Insta360公式のコミュニティやYouTubeは、360度ビデオのままシェアすることができます。
Apple Vision Proが日本でも発売されて普及したら、臨場感あふれる360度ビデオのシェアも流行するかもしれません。

X4とX3、どっちを選ぶ?

Insta360 X4

フラグシップモデルのX4と、エントリーモデルのX3には、約2万円の価格差があります。
X4はさまざまな点で進化していますが、基本的にはできることは変わっていません。
iPhoneでいえば2〜3世代の性能差に感じます。
X3の方がひとまわり小さくて、X4を使ったあとで握ってみると、そのコンパクトさも魅力に感じます。
2モデルの違いは、公式サイトの比較表がわかりやすいです。

Insta360 X4

X4を選びたくなる最大のポイントは、8K 360度の撮影でしょう。
X4で8K撮影したのと、X3で5.7K撮影したビデオから、一部分を切り出してみました。

Insta360 X4

8Kの方(左側)は、360度ビデオからトリミングしたとは思えない解像度で、色味の再現度も目を見張るものがあります。
それに比べると5.7Kの方(右側)は、ディテールがつぶれて見えます。
桜の色が5.7Kの方が強調されて鮮やかになっていますが、X4で撮影した8Kの方が正確な色です。

しかし8K 360度の撮影は、ふたつの点で扱いが難しいです。
ひとつは容量の大きさ、もうひとつは発熱です。

Insta360 X4

X3で5.7K30fpsで撮影したビデオは、60秒で容量11GBでした。
X4で8K30fpsで撮影したものは、約1.5倍の16.7GBになっていました。
たった1分間でもこれぐらいの容量になるので、10分、20分と撮影したら、容量は膨大になります。
転送やアップロード、共有にも、時間がかかることになります。

発熱については、動画撮影の設定で8Kを選んだときに、以下の説明が表示されます。

設定によっては本体の温度が急速に上昇する場合がありますので、風の強い場所や移動中に使用してください。低照度下では5.7Kを使用してください。

Insta360 X4

風を受けて冷却されるような状況で使うことが推奨されているのです。
4月・5月の北海道は涼しいですが、それでも一定時間の撮影を続けていると、カメラがかなり熱くなりました。
使い方によっては手に持つのが難しいほど熱くなるかもしれず、サーモグリップカバーを同梱したのも頷けます。
X4を選んだとしても、普段は5.7K撮影で、ここぞという場面で8Kで撮る使い方になるかもしれません。

はじめての360度カメラなら、X3でも十分な性能です。
最高品質の撮影がしたくて、予算が許すなら、X4を選んでください。

まとめ

Insta360 X4

Insta360 Xシリーズは登場から6年で、現在では360度カメラの定番機種の地位を確立しています。
Apple製品との親和性が高く、Apple製品をお手本にしたような使いやすさも備えています。
撮影の幅を広げてくれる、豊富なアクセサリーもあって楽しいです。

「Insta360 X4」は以下のオンラインショップで購入できます。
基本パッケージ「通常版」の価格は税込79,800円です。

「Insta360 X3」は以下のオンラインショップで購入できます。
基本パッケージ「通常版」の価格は税込60,520円です。

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