Insta360から発売されている「Insta360 Flow Pro」をレビューします。
iPhone/スマートフォンを取り付けて、手ぶれを抑えた動画撮影ができるジンバル「Flow」シリーズの上位モデルです。
レビューにはメーカー提供の評価用サンプルを使用しています。
「Insta360 Flow」「Flow Pro」はどんな製品?
主に手ブレを抑えた動画を撮影するのに役立つ、「ジンバル」「スタビライザー」と呼ばれる製品です。
360°パノラマカメラや、アクションカメラを展開するブランドInsta360の製品で、初代モデル「Flow」は2023年3月に発売されました。
デバイスを手持ちで撮影するときの、傾きや揺れを物理的にキャンセルする「3軸手ブレ補正」がメインの機能です。
映像が安定し、iPhoneの高品質のカメラで撮影したビデオのクオリティが、さらにアップします。
折りたたみ式のコンパクトな本体に、三脚と、伸縮可能な自撮り棒を内蔵しています。
撮影用のアプリは、AIにより被写体を自動で追尾する機能や、簡単に映える動画を編集できる機能などを備えています。
外付けのオプション品を使って、さらに機能を拡張することもできます。
関連記事:【レビュー】Insta360 Flow:iPhone/スマートフォン用のAI追跡搭載ジンバル
「Flow Pro」は「Flow」の機能をさらに高めたバージョンとして、2024年7月に発売されました。
新たに「360度無限パントラッキング」機能を搭載し、水平方向に何周でも回転できるようになりました。
またAppleの提供するフレームワーク「DockKit」に対応しています。
iPhoneのFaceTimeや標準のカメラアプリ(ビデオ撮影モード)のほかに、Instagram、ZOOMなどのサードパーティ製アプリで、被写体を追尾しながら撮影できるようになりました。
iPhoneを近づけるだけでペアリングもできます。
Appleのフレームワークを採用したことで、「Made for iPhone」マーク取得製品になっています。
Flow Proの外観・製品仕様
▲ 標準セットの「通常版」は、以下のパッケージ内容です。
- Flow Pro本体
- 磁気スマートフォンクランプ
- グリップカバー
- Type-C to A 充電ケーブル
- 保護ポーチ
付属品は、標準モデルの「Flow」とまったく同じです。
メーカー公式オンラインショップでは、万能三脚をセットにした「プロ三脚キット」も用意されています。
標準モデルの「Flow」はサミットホワイトとストーングレーの2色のカラーバリエーションでしたが、Flow Proはストーングレーの1色のみです。
▲ 大きさの比較のために、iPhone 15 Pro(6.1インチ)と並べてみました。
ポケットにも入れやすいコンパクトサイズで、持ち運びやすいです。
この中に三脚と自撮り棒も内蔵しています。
▲ iPhoneを取り付けるためには、付属の「磁気スマートフォンクランプ」を使用します。
バネで伸縮するアームで、デバイスの中心を挟んで固定します。
ある程度の厚さまでのiPhoneケースなら、装着したまま使用できます。
▲ MagSafe対応のiPhone用に、クランプで挟む手間が省けるマグネット式アダプタ「磁気スマートフォンマウント」も別売りオプションとして用意されています。
詳しくは後述します。
▲ 2本のバーをヒンジで連結したような構造です。
両手でそれぞれのバーを持って、ひねるように回転させることで展開します。
展開すると、自動で電源がオンになります。
▲ 標準モデルのFlowは、専用アプリ「Insta360」を立ち上げて、iPhoneとジンバルを同期する必要がありました。
AppleのDockKitに対応したFlow Proは、対応するiPhoneを近づけるだけで同期できるように進化しています。
MagSafeシステムに対応した、iOS 17以降にアップデートされたiPhoneなら、近づけるだけでペアリングされます。
iPhoneをロック解除後にホーム画面にして、グリップ上部のNFCセンサーに近づけると、画面にポップアップが表示されます。
いちどペアリングすれば、次回以降は起動するだけで接続されます。
▲ 専用アプリInsta360もiPhoneにインストールして、ファームウェアのアップデートや各種設定を行います。
画面の指示に従っていくだけで、設定ができます。
撮影方法のチュートリアルも用意されています。
▲ 操作ボタンは円形の「スマートホイール」に集約されています。
親指だけでさまざまな操作ができます。
中央が、カメラの向きを変えるスティック兼ボタンになっています。
そのまわりの平たい部分もボタンになっていて、モードを切り替えるためのタッチセンサーも兼ねています。
外周部の溝が刻まれたリングは、ズーム操作に使います。
この裏側にもトリガー状のボタンがあり、人差し指で操作します。
▲ USB-C端子を2か所に備えています。
ひとつはFlowの充電用です。
もうひとつはFlow Proをモバイルバッテリーとして、デバイスを充電するのに使えます。
電源アダプタは付属していません。
▲ バッテリーを内蔵している部分は、透明なカバーになっています。
この中にデザイン柄を施したシート「カスタムインサート」を挿入することで、カスタマイズを楽しめます。
マイクなどを取り付けられる、コールドシューマウントも備えています。
▲ 伸縮可能なアームを内蔵し、「自撮り棒」としても使えます。
高いところ、あるいは低いところから撮影もできます。
▲ グリップの底部に、三脚も内蔵しています。
外付けのオプション品を用意しなくても、タイムラプスやパノラマ撮影ができます。
三脚穴も搭載しているので、カメラ用三脚に取り付けることもできます。
▲ 自撮り棒として伸ばして使うと、重心が端の方になり、手首が疲れやすいです。
付属のラバー製グリップカバーを被せれば、持ちやすさがアップします。
グリップカバーをつけたまま内蔵三脚なども利用できるので、つけっぱなしがおすすめです。
くの字型に折れるヒンジも利用すれば、さらに持ちやすくなります。
Insta360 Flow/Flow Pro 磁気スマートフォンマウントについて
▲ 「磁気スマートフォンマウント」は、MagSafe対応iPhone用の、Flowと合体しやすくなる別売りオプションです。
▲ iPhoneの背面にぴたっと吸着します。
標準のクランプと違って、本体横のボタンを覆うことがありません。
薄いので、付けたままでも邪魔になりません。
▲ 標準のクランプと同じように、Flow/Flow Proに接続できます。
激しく動くような場面では、標準のクランプを使うように推奨されています。
iPhone側のマグネットの磁力が、激しい動作を想定していないためです。
また磁気スマートフォンマウントは、360度パノラマ写真撮影には利用できません。
Flow ProとiPhoneで撮影してみる
まずDockKitによる、標準カメラで動作する「ネイティブトラッキング」を試してみました。
「カメラ」や「FaceTime」「Instagram」「ZOOM」などで、自分や被写体を捉えた状態でFlow Proのトリガーを押すと、追跡が始まります。
前面カメラでも背面カメラでも動作します。
▲ この動画のように、360度回転したり、上下に角度を調節しながら、被写体を追跡します。
顔の向きも認識しながら、いい感じのアングルを保とうとします。
追跡中は、グリップ上部のLEDが点灯します。
iPhoneをMacのウェブカメラとして使う「連係カメラ」機能にも対応しています。
DockKitのネイティブトラッキングは、人間の追跡にしか対応していません。
動物やオブジェクトを追跡したい場合は、Insta360アプリを使用します。
DockKitアクセサリの機能は、2024年秋にリリースされるiOS 18で拡張されて、Flow Proからさまざまな操作ができるようになる予定です。
▲ メインの機能ともいえる、手ブレ補正について。
手持ちで普通に歩いて撮影しながらでも、滑らかな映像が撮れます。
Flow Proのグリップは握りやすく、レンズの切り替えなどもしやすいです。
▲ Insta360アプリを使った撮影では、「ディープトラック3.0」と呼ばれるAIによる追尾機能が使えます。
グリップのトリガーボタンを押すか、画面をドラッグして被写体を選択します。
人間以外にも、動物や物体も追尾撮影できます。
DockKit機能による「ネイティブトラッキング」よりも、激しい動きをしても追跡をし続けます。
▲ ユニークな撮影機能もいくつか紹介します。
「ドリーズーム」を使えば、映画のような印象的な映像を、簡単に撮影できます。
中心が固定されたまま、まわりの風景が圧縮されていきます。
Insta360はその名が表すとおり、360度全天球カメラのブランドとしても知られています。
このFlow Proには、360度パノラマ写真を撮影できる機能があります。
数回に分けて撮影した画像を合成して、360度写真に仕上げます。
▲ 通常はデバイスの背面に取り付けるクランプを、画面側に取り付けます。
そのためMagSafeアダプタの「磁気スマートフォンマウント」は使えません。
▲ 下段5回、中段8回、上段5回の撮影を行い、画像を合成します。
▲ 撮影したパノラマ写真がこちらです。
iPhoneのカメラを使った、高品質の360度写真が得られます。
足元の部分は、同社の全天球カメラの「見えない自撮り棒」のような画像処理が行われて、Flowや三脚の姿は映っていません。
カメラの向く方向に自分が移動していけば、分身したような写真も撮れそうです。
このほかにもアングルを変えながらタイムラプスを撮る「モーションタイムラプス」や、ストリートバスケの撮影に適した「バスケモード」といった機能もあります。
Insta360 FlowとFlow Pro、どっちがいい?
数々の新機能が追加されたFlow Proですが、現在は標準モデルのFlowとほとんど価格差がありません。
iOS 18でさらに便利になるポテンシャルを備えているので、Flow Proの方を強くおすすめします。
まとめ
アクションカメラや360°カメラのブランドInsta360による、iPhone/スマートフォン用ジンバルのアップグレード版です。
高性能なiPhoneのカメラを活かして撮影ができ、iPhoneでの編集、シェアもすばやく行えます。
Apple DockKitに対応し、iPhoneとの親和性がさらに高まり、標準の「カメラ」アプリなどでも利用可能になりました。
回転の限界がなく、360度ぐるぐる回せるようになったのも、このジャンルの製品としては大きな進化です。
自撮り棒と三脚も内蔵し、この製品ひとつで、iPhoneのカメラをより幅広く活用できるようになります。
Insta360 Flow Proは、以下のオンラインショップで購入できます。
価格は税込19,800円です。
別売りオプションの「磁気スマートフォンマウント」は以下のオンラインショップで購入できます。
価格は税込3,600円です。