コンビニや家電量販店などで販売されているApple Gift Cardのリニューアルが始まっているようです。
いまのところセブン-イレブンでしか確認できていませんが、ステッカーが付属しない新パッケージに入れ替わっていました。
Xにて、AppleファンのNaoさんの投稿で初めて知りました。
コンビニで売られているApple Gift Cardはシールのない新タイプに置き換わっていました
(セブン-イレブンで観測) pic.twitter.com/rOqHWcNjqk— Nao (@Nao_9615) May 7, 2025
いままでと変わっていないように見えて、実は形態が新しくなっています。
仕様変更するふたつの理由
どうして変える必要があるのか? 理由はふたつ考えられます。
1)環境への配慮
ひとつは環境への配慮。
付属のステッカーをなくすだけで、製造、輸送、廃棄で発生する環境負荷を減らせます。
従来はiPhoneやMacなどのハードウェアに付属していた、伝統的なAppleマークのステッカーも、近年は省かれていますよね。
Appleは2030年までに炭素排出量を実質ゼロにするという目標を、2020年から掲げています。
タイムリミットが近づいていることもあり、削れるものは削っていく方針なのでしょう。
2)不正な差し替え防止
もうひとつの理由は、店頭での不正な差し替え・すり替えを防止するセキュリティ強化です。
従来のApple Gift Cardは、店舗で使うバーコードが外側に。チャージに使うコード本体が内側にありました。
Apple Gift Cardなどの「POSAカード」は、レジでバーコードをスキャンして、支払いを受けることで「アクティベーション」されて、コードが有効化されます。
たとえカードを万引きしても、レジを通していないので、アクティベーション・有効化されていないコードは使えない仕掛けです。
このシステムは安全に思えますが、ギフトカードの中身をすり替える不正ができる抜け道があるようです。
POSAカードのすり替えとかあるんか pic.twitter.com/ETLjq3Fy9l
— こばやし 'にらたま' けんいち (@Niratama) June 29, 2024
想像するに、このような手口なのでしょう。
まずApple Gift Cardを2つ、お店の棚から盗み出して、中身を入れ替えます。
ひとつはお店の棚に戻して、もうひとつは手元に持っておきます。
お店に置いた方のカードを、誰かがレジに持っていって支払いをすることで、手元に持っていた方のコードが有効化されるというわけです。
いままでのApple Gift Cardは、テープで封をされた封筒型で、中身の入れ替えが比較的簡単に行える形でした。
また、アクティベーション用のバーコードが封筒に。コード本体は中の用紙に記載されていました。
この形態により、レジで使うアクティベーション用バーコードと、実際のコードのペアを組み換える不正ができました。
さまざまなPOSAカードの中でも、ステッカーのおまけが付属するApple Gift Cardだけの脆弱性だったかもしれません。
新しいものは台紙を破壊しないと、バーコードにもコード本体にもアクセスできなくなっています。
前述のような手口での、入れ替えや貼り替えが難しいように改善されています。
バーコードとギフトコード本体も、両方が1枚のカード上に印刷されていて、「組み換え」できません。
新しいギフトカードはどうなってる?
従来(写真右)は封筒にAppleマーク型の型抜きがされていて、中のステッカーのデザインが見えるスタイルでした。
新しいもの(同左)は、封筒の上にAppleマークがプリントされています。
什器に吊るすためのタブ部分は、切り離せないようになりました。
裏側にチョコレート菓子の箱のようなミシン目があり、バーコードが隠されています。
「店員の方へ:販売時に店員がラベルをはがしてバーコードをスキャンしてください」
「パッケージが破損していたり開封されている場合は、販売または購入しないでください」
と記載されています。
購入すると、このような形で渡されます。
台紙を破いて開くと、中からギフトカード本体が出てきます。
これはちょっとわかりにくです。
初めて使う方は、購入した後どうしたらいいのか迷う気がします。
出てきたカードがこちら。
封筒に包まれていたのに、コード本体がさらに目隠しされています。
誰かにプレゼントするとしたら、このカードの状態で渡すことになるでしょう。
かつてのiTunes Cardのようなプラスチックではなく、紙製です。
裏側はこのようになっています。
コードを隠している銀テープは、細い渦巻状に剥がれます。
いちど剥がしたものを、元に戻せないように配慮してあります。
そういえば封筒も、外周に×型の切り込みが施されています。
貼り合わせてある紙を慎重に剥がして、中身を入れ替えようとしても、破けてしまって修復は難しいでしょう。
コードの読み込みは、いままでと同じです。
App Storeアプリなどで「ギフトカードまたはコードを使う」から、iPhoneのカメラでスキャンするのが簡単です。
心情としては寂しい
Appleは2023年から、物理的なカードを購入することなく、コンビニのレジでApple Account残高にチャージできるサービスを始めています。
セブン-イレブンから始まり、現在はファミマとローソンにも拡大しています。
使い捨ての紙媒体で売るよりも、ずっと環境にやさしいですよね。
2005年にiTuens Music Storeが日本に上陸してから、ずっとカードやステッカーをコレクションしてきた私にとっては、ステッカーがなくなるのは寂しさを感じます。
デザインを選んで買ったり、バリエーションの違いを眺めるのは楽しいです。
とはいえ、こういう記念品が欲しくなるのは、このようなサイトの記事を読んでいるあなたや私のような、一部のAppleファンだけなのでしょう。
ギフトカード購入者の大部分を占める「ふつうのiPhoneユーザー」にとっては、言ってしまえば「ゴミになるだけ」だったのかもしれません。