【編集後記】第3世代iPodと、画期的なインターネット音楽配信サービスiTunes Music Storeの発表から20年

第3世代iPodとパッケージ

2003年4月28日(日本時間29日)に、第3世代iPodとiTunes Music Storeが発表されてから20年が経過しました。

当時のプレスリリース

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iTunes Music Store

当時はパソコンや専用プレーヤーで、MP3の音楽を聴くのが流行していました。
しかし音楽データをネットで共有する、不正行為の横行も問題視されていました。
そのような中でApple(当時の社名はApple Computer)が生み出したのが、iTunes Music Storeです。

iTunes Music Store

まだMac専用のアプリケーションだった「iTunes」は、当初はCDから音楽を取り込んで聴くものでした。
当時のユーザーは、iTunesでCDから音楽をリッピングして、プレイリストを作り、iPodに転送して聴いていました。
このiTunesに、音楽データを購入できるストア機能を組み込んだのが、iTunes Music Storeです。

iTunes Music Store

前述のように音楽データのネット共有が横行していたので、当時の音楽業界からは、「MP3」や専用プレーヤーは煙たがられていました。
なのでネット音楽配信サービスについては、レコード会社やレーベルは乗り気ではなかったようです。
彼らを説き伏せて、サービス開始まで実現できたのは、ジョブズの手腕によるものでしょう。
正規に簡単に購入できるようになれば、違法な共有行為はされなくなるというのがジョブズの主張で、実際そのようになりました。

iTunes Music Storeにより、自宅にいながら音楽を買うことができ、聴きたい1曲だけでも手にいれることができるのは、本当に便利になりました。
同じ年の秋にはWindows版もリリースされます。
日本でのサービス開始は、2年後の2005年8月でした。

「iTunes Music Store」から「iTunes Store」に名前が変わったのは、2006年9月です。
米国で映画の配信が始まったときです。
日本のiTunes Storeで映画が利用可能になったのは、2010年11月でした。

Appleが推し進めたネット配信サービスが、20年経た現在のさまざまな音楽・映像配信サービスの礎になったのは間違いありません。

第3世代iPod

第3世代iPod

iTunes Music Storeと同時に発表されたのが、第3世代iPodです。
iPodとしては3世代目にして、初のフルモデルチェンジといえる進化をとげました。
第1/第2世代の接続端子はFireWireだったのが、第3世代では独自の端子「Dockコネクタ(30ピン)」が採用されました。
この機種のAppleによる分類名称は「iPod (Dock Connector)」とされています。

第3世代iPod

ホイールの周りに配置されていたボタンは、横並びのタッチセンサー式に変更されました。
可動部分をなくすことで、物理的な故障を避けたり、薄型化する狙いがあったのでしょう。
LEDで光るボタンがかっこいいです。

しかしこのインターフェースは、このモデル1世代だけで廃止となりました。
この後に発売されたiPod miniで、ホイールとボタンが一体化した「クリックホイール」が発明され、第4世代以降のiPodにも採用されたのです。

第3世代iPod

第3世代iPodで初登場したDockコネクタは、いろいろなアクセサリを接続できる拡張性を備えていました。
これが「iPodエコシステム」と呼ばれる、サードパーティーを巻き込んだ経済圏を発展させることになります。
DockコネクタはのちにiPhoneやiPadにも採用され、iPodと同じアクセサリをそのまま流用することができました。

1年3か月の販売期間中に、容量アップによるラインナップ変更が2回も行われ、値下げもされました。
発売当初は10/15/30GBの3モデルだったのが、最終的には15/20/40GBになっていました。
「ポケットに1,000曲」がキャッチコピーだったiPodですが、40GBモデルの登場で早くも「1万曲」に到達します。

5GBで1,000曲だったのが、40GBに1万曲入るのを、疑問に思われる方もいるでしょう。
iTunes Music Storeの登場以降、音楽ファイルはMP3ではなくAACフォーマットが標準になります。
AACはMP3と同等音質でもより圧縮率が高く、容量に対してより多くの音楽を保存できるようになり、計算の仕方が変わったのです。

Windows版iTunesが登場したときのモデルで、iPodの世界販売累計200万台にも到達しました。
はじめて手にしたiPodやApple製品がこれだったとして、思い入れのある方も多いかもしれません。

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