Appleによる映画販売・レンタルは、現在はApple TVアプリとiTunes Storeの、2種類のアプリからアクセスできます。
これがApple TVアプリに一本化されそうな動きがあります。
来月のWWDC23で発表される、iOS 17で決行されると予想しています。
以下にiTunes StoreとApple TVアプリの関係を、時系列で振り返りながら確認してみます。
iTunes Storeでの映画販売・レンタル(2006〜)
2003年に米国でサービス開始された「iTunes Music Store」で、2006年9月から映画の配信も始まりました。
すでにテレビ番組の配信もされており、音楽だけのストアではなくなったので、サービス名も「iTunes Store」に改められます。
映画は買い切りの「購入」か、期間限定で視聴できる「レンタル」の、2通りの利用方法が選べます。
- アップル、驚きの新機能を加え、iTunes 7を発表 – Apple(2006年9月)
米国から4年遅れた2010年11月には、日本のiTunes Storeで映画が利用可能になりました。
- Apple、日本のiTunes Storeで映画の提供を開始 – Apple(2010年11月)
「TV」アプリの登場(2016〜)
2016年12月には米国限定で、「Apple TV」アプリの原型となる「TV」アプリが登場します。
これはiOSの「ビデオ」アプリを刷新したものです。
iTunes Storeを含む、さまざまな映像配信サービスや有料テレビ放送のコンテンツを、1か所で視聴できるのを目指していました。
「Apple TV+」と「Apple TV」アプリ(2019〜)
2019年3月のイベントでは、Appleのサブスクリプション映像配信サービス「Apple TV+」が発表されます。
それと当時に、「TV」アプリも「Apple TV」にリニューアルすると予告されます。
- Apple、Apple TV+を発表 — 世界で最もクリエイティブな才能たちが集う場所 – Apple(2019年3月)
- Appleの基調講演イベントからのハイライトシーン – Apple(2019年3月)
「Apple TV」アプリは同年5月の、iOS 12.3で実装されました。
「TV」アプリが提供されていなかった日本などでも、「ビデオ」アプリが「Apple TV」に変わりました。
iTunes Storeで提供されている映画を、Apple TVでも購入・レンタルできるようになりました。
Apple TV+のサービスが開始されたのは、同年11月です。
Macでは同じ2019年の10月に、macOS Catalinaで「iTunes」アプリが廃止されます。
Macではこれ以降、映画の購入・レンタルは「Apple TV」アプリで行うことになります。
iPhone/iPadの「iTunes Store」の映画コーナーも終わりそう
Appleが販売・レンタルする映画は、2019年3月以降、「iTunes Store」と「Apple TV」のふたつのアプリからアクセスできました。
こんな状態が4年間も続いていたけれど、そろそろ終止符を打つときが来たようです。
ここ最近、iTunes Storeの映画コーナーが、撤収するような動きを見せているのです。
これまでiTunes Storeで注目の新作やキャンペーン情報を載せていた、最上部のビッグバナーが、文字だけの簡素なものに変わりました。
しかもこれをタップすると、Apple TVアプリに遷移します。
この状態は、古いmacOSで開いたApple Books StoreやiTunes Uの様子に似ています。
映画を100円(その後102円に値上げ)でレンタルできた「今週の映画」企画も、4月19日からの「ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密」を最後に終了したようです。
「今週の映画」は、2011年には「今週の100円レンタル」のタイトルで、毎週2本を取り上げる企画として実施されていました。
その後2014年には、「今週の映画」として再スタートします。
最初の作品は「ザ・ファイター」でした。
2019年からは、レンタル価格は102円に値上げされました。
iTunes Storeのスタッフが、おすすめの映画を毎週1本紹介する「Essentials」企画も、4月19日の「スーパーマン」を最後に更新停止されました。
「Essentials」は2015年6月にスタートし、最初に取り上げられた作品は小津安二郎監督「東京物語」でした。
さらにiTunes Storeの作品情報を載せていたWebページ
「itunes.apple.com/jp/movie/id〜」
をブラウザで開くと、Apple TVのWebページ
「tv.apple.com/jp/movie/umc.cmc.〜」
に転送されるようになりました。
iOS 17で映画はApple TVアプリに完全移行する?
上で紹介した変化は、iTunes Storeから映画コンテンツを撤収する前触れに思えます。
来月催されるWWDC 2023で発表されると思われる、iOS 17とiPadOS 17で、「Apple TV」アプリへの映画の完全移行が実施されると予想しています。
古いOSを使い続けるユーザー向けには、iTunes Storeの映画コーナーは残るはずです。
予想通りになるとしたら「iTunes Store」は結局、音楽の販売だけを行う「iTunes Music Store」の頃の姿に戻ることになりますね。
映画コーナーが廃止されたら、「iTunes Store」の影がますます薄くなりそうで、寂しくもあります。
でもApple TVアプリに統一するのが遅すぎたぐらいだと思っています。
iTunes Storeは、もうずっと使っていないという方も、今では多いでしょう。
私は映画を購入・レンタルするときは、気分によってApple TVを使ったり、iTunes Storeを使ったりしていました。
字幕版と吹替版が個別に配信されている作品は、Apple TVアプリではバージョンの見分けがつきにくいんですよね。