【編集後記】Apple Watchがウェアラブル情報ツール「腕時計」に革命を起こす

Apple Watchの試着シーン

発表から7カ月が経過し、実機にもやっと触れることができました。
これはいったい何なのかということが、ようやく自分のなかで理解できてきました。
「Apple Watch」。
ウォッチとはいうものの、これは決して腕時計ではなく、まったく異なる新しいジャンルの製品です。

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「腕時計」は単機能の情報ツール

私たちはこれまで、時間を知るために手首に腕時計をはめていました。
腕時計を現代風にとらえると、「ウェアラブル情報ツール」といえます。
しかしその機能(表示できる情報)は、非常に限られたものです。

手首の上はもっと有効活用ができることに、アップルは気がついたのでしょう。
時間だけではなく、現代に適合したさまざまな情報を表示できるデバイスを、最新のテクノロジーで作ってしまいました。
せいぜい日付を表示したりストップウォッチを搭載したりに進化をとどめてきた「腕時計」の分野に、あのアップルが乗り込んできて、また革命が起ころうとしているのです。
(アップルがパーソナルコンピューター、音楽プレーヤー、携帯電話に起こした革命は、だれもが知るところです。)
時間を表示できるのは、Apple Watchの中のほんの一機能に過ぎません。
時計機能しかないウォッチに手首を縛られるのは、もう終りです。

アップルの普及戦略

しかし、もし「IT企業の開発したウェアラブルデバイス」なんて聞かされても、身につけたがるひとは少ないでしょう。
ウェアラブルコンピューターとしてはApple Watchに先駆けて登場した、メガネ型デバイス「Google Glass」を思い出してください。
身につける本人にも、まわりの人にも抵抗感を与え、物議を醸すものでした。
たとえ素晴らしく革命的な製品だったとしても、これでは一般には受け入れられず、普及は難しそうです。

Apple Watch Editionの展示

一方のアップルは、このウェアラブルデバイスを普及させるために、巧妙に「腕時計」としてのお化粧を施しました。
高機能な「腕時計」ならば、使ってみようかとも思わせられます。
5万円もする役立つかどうかもわかならいデジタルガジェットでも、腕時計としてなら普通の値段に思えます。
腕時計を装ったApple Watchが、トロイの木馬のように私たちの生活に入り込み、腕時計の居場所を奪っていくことになるでしょう。
気がついたときには、私たちの手首の上は、この新しい情報・コミュニケーションツールに占拠されているはずです。
Apple Watchを腕時計だと思っている方は、まんまと騙されていますよ。

iPhoneは過渡期、Apple Watchこそ未来

技術の進化が進めば、通信機能やカメラなどもApple Watchに吸収され、iPhoneは不要になります。
Apple Watchではメールが打てないと心配されるかもしれませんが、安心してください。
その頃の私たちは、手首の上で済ませられる簡素なコミュニケーションに慣らされているはずです。

「SFは携帯電話やスマートフォンを予想できなかった」と言われています。
iPhoneやスマートフォンは、まだSFに描かれた未来には届かない、過渡期のものだったのでしょう。
腕時計型デバイスで会話などが出来てしまうSFのような未来が、Apple Watchの登場により見えてきました。
まさに「その時がやってくる」(Apple WatchのCMより)のです。

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