もう7年前になりますが、iPad Airが初登場したときに、この編集後記コーナーでこんなことを書きました。
【編集後記】アイブが目指した「画面だけが宙に浮かんだコンピューター」(2013年11月3日)
Appleのデザイナー(当時)、ジョニー・アイブが手がけた過去のデザインからは、画面だけが宙に浮かんだコンピューターを目指しているのが伺える。
iPad Airはその志向に最も近いデバイス。
「Air」という名前にもそれが表されている、という内容です。
そのアイブが目指していたものが、iPad ProとMagic Keyboardで、ついに実現したのです。
いままでのSmart Keyboard/Smart Keyboard Folioは、キーボード面にiPadが載るスタイルでした。
それがMagic Keyboardでは、iMacのディスプレイのように、机上から浮かび上がったスタイルになっています。
これが「浮いている」かは、意見が分かれるところでしょう。
Appleとしては、「フローティングデザイン」「フローティングカンチレバー」という呼び方や、サイトのキャッチコピーなどでも、「浮いているもの」としてアピールしています。
CMでも軽やかに滞空するハチドリに、iPadが宙に浮いているのを象徴させています。
iPadは発売からちょうど10周年を迎えています(米国では2010年4月、日本では5月発売)。
「画面だけのコンピューター」を初代iPadで実現し、それから10年経てついに、宙に浮かばせることに成功したのです。
昨年11月にAppleを退職したアイブが、このMagic Keyboardにどの程度関わっていたかは、わかりません。
まったく関与していなかったとしても、「画面だけが宙に浮かんだコンピューター」を理想としたアイブ意志が、Appleのデザインチームに受け継がれているように感じます。
それにしても上に貼ったiPad ProのCM「Float」は、かつてのiPodやiMacのCMを彷彿とさせる、上品で爽やかな雰囲気ですね。
実際のMagic Keyboardは、価格も重量もヘビー級なので、将来もっと軽快に使えるように進化してほしいと期待しています。