【編集後記】多様性を尊重するアップルは、Apple Storeのバレンタイン向け特集も廃止した

Apple公式サイトでは例年この時期に、バレンタインデー向けのギフト特集が組まれていました。
今年はホリデーシーズン向けの「無数の可能性を、一つ贈ろう。」の後に公開された企画「新しい何かを始めよう。」のままで、バレンタイン特集は見られません。
まずは過去の特集がどんなものだったか、振り返ってみようと思います。

Apple Storeのバレンタイン特集
▲ 2010年

Apple Storeのバレンタイン特集
▲ 2011年

Apple Storeのバレンタイン特集
▲ 2012年

Apple Storeのバレンタイン特集
▲ 2013年

Apple Storeのバレンタイン特集
▲ 2014年

以上です。
ギフト特集では毎回、メッセージを刻印したiPodがプッシュされています。
Apple公式サイトでは、iPadとiPodに好きなメッセージを刻印したものを注文できる、レーザー刻印(パーソナライズ)サービスが提供されています。

では今年はなぜ、バレンタイン向け企画をやめてしまったのでしょうか?
そもそも「聖バレンタインデー」は、キリスト教の聖人に由来する行事です。
(参照:バレンタインデー – Wikipedia

アップルは昨年から、多様性を尊重する企業であることをアピールしています。

特定の宗教に由来する行事であるバレンタインデーの企画を、世界のApple Storeで同じように展開することを考え直したのでしょう。

昨年末から実施されていたホリデーシーズン向けギフト特集でも、キリスト教の行事であるクリスマスと直接結びつくイメージが無いように配慮されていました。

ホリデーシーズン向けテレビコマーシャル「The Song」のテロップでも、宗教と関係なくクリスマスを祝う日本版では「Merry Christmas」と表示されていましたが、もとの米国版では「Happy Holidays」となっています。

「The Song」日本版
▲ 日本版

「The Song」米国版
▲ 米国版

Apple Storeのバレンタイン向け特集が無くなったのも、この多様性を重視する流れによるものと思われます。
ちょっと真面目すぎるようにも感じますが、様々な価値観に配慮すると、こうならざるを得ないのでしょう。
信仰に関係なくクリスマスやハロウィンなどを祝う、日本的な価値観の方が特殊なのだと、自覚する必要もあるかもしれません。

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