Apple純正の「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」(MNWM3AM/A)をレビューします。
ふたつのUSB-C端子を搭載し、2台のデバイスを同時に充電できる充電器です。
▲ 同じ性能と価格で、「コンパクト」ではない「デュアルUSB-Cポート搭載35W電源アダプタ」も同時発売されています。
「コンパクト」じゃない方は、従来のMacBook用電源アダプタ(写真左)のように、プラグ部分が着脱式になっています。
別売りの「ワールドトラベルアダプタキット」と組み合わせれば、海外でも使えます。
このページでレビューする「コンパクト」の方(同右)は、プラグ部分が一体型です。
使える国が限られますが、そのぶん小型になっています。
日本、米国、カナダ、中国、メキシコ、フィリピン、台湾、タイでのみ販売されています。
2種類でUSB-C端子の並び方も異なります。
どんな製品?
▲ 主流になってきた、USB-C端子の充電ケーブルを2本接続できる電源アダプタです。
たとえばここに並べただけでも、4種類のApple製品用のUSB-Cケーブルがあります。
- USB-Cケーブル:MacBook AirやiPad Proなど
- Lightningケーブル:iPhoneやAirPodsなど
- MagSafe充電ケーブル:iPhoneとAirPods
- Apple Watch用磁気充電ケーブル
「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」を使えば、1個のコンセントと充電器で、これらのデバイスを2台同時に充電できます。
▲ 大きさは20W電源アダプタと、30W電源アダプタの中間です。
USB-Cが1個口の30Wタイプよりも、2個口の35Wタイプの方が小さいのは、不思議な印象を受けます。
プラグ部分を一体化させることで、小型化できるのでしょう。
サードパーティー製の電源アダプタでは、窒化ガリウム(GaN)を採用して、小型化したものが増えてきています。
Appleのこの製品は、窒化ガリウム(GaN)を使用しているかは明かされていません。
▲ プラグは折りたたみ式なので、持ち運びやすいです。
プラグの先がちょっとだけ突き出ているのは、これがないと引き出せないためです。
▲ 左右の側面に凹みがある、Appleとしては珍しいデザインです。
コンセントから抜く際に、指を引っ掛けるためにあるのでしょう。
奥行きの小さい形なので、掴みやすいように配慮したのだと思われます。
▲ USB端子が横に並んでいるのも、珍しい設計です。
▲ 従来のApple製電源アダプタや、一般的なサードパーティー製の電源アダプタと違って、電源プラグとUSB-C端子の向きが90度折れています。
壁面コンセントに接続したときに、ケーブルが下に伸びるので、邪魔になりません。
▲ 20W電源アダプタと見比べると、ケーブルの取り回しの美しさが際立ちます。
▲ 「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」をMacと接続して、Macのシステムレポートを開くと、様々な情報が見られます。
製造IDや、バージョン、シリアル番号などが表示されます。
ファームウェアのバージョンとして、「1030060」と記載されています。
今後のファームウェア・アップデートで、動作が変わる可能性もあります。
使い方
▲ 各種USB-C充電ケーブルを使って、デバイスを接続するだけです。
2台まで同時に充電できます。
MacBook Proには対応していません。
2台のデバイスを同時に充電する場合は、デバイスの必要電力に応じて、自動で電力が振り分けられます。
Appleの公式サポート情報ページ「35W デュアル USB-C ポート搭載電源アダプタの使い方」では、以下のように動作すると説明されています。
▲ MacBook + iPhoneまたはiPadの場合:それぞれ17.5W
▲ iPhone + iPad:それぞれ17.5W
▲ MacBookまたはiPhoneと、Apple WatchまたはAirPods:27.5Wと7.5W
どちらかのデバイスへの給電量を増やしたい場合は、もう片方をケーブルごと電源アダプタから抜くように案内されています。
充電してみた
▲ MacBook Air(M1)とiPhone 13 Proを同時に充電してみました。
それぞれバッテリー残量の警告が表示される、MacBook Airは10%、iPhoneは20%から充電を始めました。
前述のサポート情報によると、それぞれ17.5Wずつ配分されることになっています。
Appleは別のサポート情報ページ「Mac の電源アダプタについて」で、MacBook Airには30W以上の電源アダプタを推奨しています。
17.5Wでは足りないことになります。
▲ MacBookの画面では、電源には接続されているものの「バッテリーは充電停止中」と表示されます。
MacBookを使いながらでは、充電は追いつかないでしょう。
スリープ状態なら、ちょっとずつ充電できます。
- 30分後
- MacBook:25%(+10%)
- iPhone:72%(+52%)
- 1時間後
- MacBook:40%(+30%)
- iPhone:93%(+73%)
- 1時間30分後
- MacBook:55%(+45%)
- iPhone:99%(+79%)
- 2時間後
- MacBook:69%(+59%)
- iPhone:100%
- 2時間30分後
- MacBook:83%(+73%)
- iPhone:100%
- 3時間後
- MacBook:96%(+89%)
- iPhone:100%
iPhoneは高速充電対応の電源アダプタに接続したとき並に、早く充電されます。
一方のMacBookは、30分ごとに15%程度が充電されていきます。
iPhoneが十分に充電され、MacBookの給電を増やしたい場合は、iPhoneの接続を解除した方がよさそうです。
(※ MacBookやiPhoneの80%を超える充電は、「バッテリー充電の最適化」機能によりソフトウェア制御されます。普段の使い方や、室内の温度によって、充電所要時間が変わります)
次にiPhone 11 Proと11インチiPad Proを、それぞれバッテリー残量ゼロから同時充電してみました。
- 30分後
- iPhone:47%
- iPad:27%
- 1時間後
- iPhone:80%
- iPad:52%
- 1時間30分後
- iPhone:95%
- iPad:77%
- 2時間後
- iPhone:100%
- iPad:95%
- 2時間14分後
- iPhone:100%
- iPad:100%
30分でiPhone 11 Proが約50%充電され、ほぼ「高速充電」の性能が出ています。
約2時間で、2台のデバイスを満充電にできました。
今度はiPhone 13 Proの1台だけを、バッテリー残量ゼロから充電してみました。
- 30分後:60%
- 1時間後:89%
- 1時間30分後:100%
約30分で最大50%まで充電できるとされる、iPhoneの高速充電の仕様を満たしています。
▲ Appleの充電器には、iPhoneとApple Watchを同時に充電できる「MagSafeデュアル充電パッド」があります。
これを併用すれば、3台以上のデバイスも同時に充電できます。
▲ 「充電」ではありませんが、試しにHomePod miniを2台同時に接続してみました。
HomePod miniには20W電源アダプタが付属していますが、18W電源アダプタでも動作します。
しかし17.5Wずつの配分では、動作しないようです。
HomePod miniは1台だけしか動きませんでした。
あとから接続した方には、電源容量が足りないことを示すオレンジ色のステータスランプが点灯します。
まとめ
これひとつで2台のApple製品を、同時に充電できる電源アダプタです。
充電器は安全性が大切なので、これはApple純正という点で安心できます。
もしかしたら今後のファームウェアのアップデートで、それぞれのApple製品に最適化されるなど、より賢く進化するかもしれません。
もちろんApple製品以外にも使えます。
Appleの30W電源アダプタよりも小さく、持ち運んで使うのにも、家の中で据え置きで使うのにも優れたデザインです。
「デュアルUSB-Cポート搭載35Wコンパクト電源アダプタ」は以下のオンラインショップで購入できます。
価格は税込7,800円です。