【編集後記】Apple新宿オープンから5年が経過。国内Apple Storeの「5年計画」もタイムリミットに

Apple新宿オープン時の店頭

2018年4月7日にApple新宿がオープンしてから、5年が経過しました。
新宿のオープンが発表された際にAppleは、『5年以内に日本国内に複数の直営店を新規開店し、既存店を改装する』と表明しました。
その「5年計画」もタイムリミットとなりました。

目次

国内Apple Storeの歴史

Apple Storeオープン時の店頭の案内

日本国内のApple Storeオープン・改装の動きを、時系列にまとめてみます。
総計12店がオープンし、そのうち2店舗が閉店しています。
現存するのは10店舗です。
(15年開店・18年閉店のApple Watch at Isetan Shinjukuについては割愛)

00年代

  • 03年11月:銀座オープン(1店)
  • 04年8月:心斎橋オープン(2店)
  • 05年1月:名古屋栄オープン(3店)
  • 05年8月:渋谷オープン(4店)
  • 05年12月:福岡天神オープン(5店)
  • 05年12月:仙台一番町オープン(6店)
  • 06年6月:札幌オープン(7店)

10年代

  • 14年6月:表参道オープン(8店)
  • 16年2月:札幌閉店(7店)
  • 17年11月:渋谷改装のため一時休業

「5年計画」期間

  • 18年4月:新宿オープン(8店・総計9店目)
  • 18年8月:京都オープン(9店・総計10店目)
  • 18年10月:渋谷リニューアル
  • 19年1月:仙台閉店(8店)
  • 19年9月:丸の内オープン(9店・総計11店目)
  • 19年9月:表参道リニューアル
  • 19年9月:福岡リニューアル
  • 19年12月:川崎オープン(10店・総計12店目)
  • 22年8月:銀座の仮店舗への移転

米国以外では初の直営店となる「Apple Store銀座」が2003年にオープンしたのを皮切りに、3年以内に合計7店舗が立て続けにオープンしました。
北海道から福岡まで、全国に7店舗ある時代が8年間続きます。

2014年には、8年ぶり8店舗目となる「Apple Stoe表参道」がオープンしました。
表参道のオープンは当時、待望の新店舗でしたが、「渋谷が近くにあるのに」という疑問の声もありました。
2016年には、札幌が閉店となります。
17年には渋谷が、「一段と素敵なストアに生まれ変わります」として長期休業に入りました。
渋谷の休業中は、表参道を利用するように案内されていました。

2018年4月のApple新宿オープンからは、記憶に新しい「5年計画」に入ります。

5年計画とは何だったのか

Apple新宿のオープン告知

Apple新宿オープンが2018年3月に予告された直後の日経新聞で、国内のApple Storeについて『今後5年間で複数の新店開業と既存店の大幅改装を行う』という「5年計画」が明かされました。

当時の記事:米アップル、日本に再投資 店舗を人が集まる広場に – 日本経済新聞(全文は会員限定)

2018年予定

5年計画の表明後に、「2018年予定」として、ふたつのイメージロゴがApple公式サイトに掲げられました。
これは京都の新オープンと、渋谷のリニューアルオープンのことだったのが、のちに明らかになります。
翌年にも「2019年予定」として、イメージロゴによる予告が実施されました。

2019年予定

建て替えのため仮店舗に移転したApple銀座を除けば、「5年」の最初の1年8か月の間に、集中的に動きがありました。
この期間に4店舗が新規開店、3店舗がリニューアルし、1店舗が閉店しました。
店舗の数でいえば、増えたのはわずかに「3」。
地方だけを見れば、仙台が閉店し、京都がオープンしたので、プラマイゼロです。
首都圏に集中的に増えたことになります(新宿、丸の内、川崎)。

5年計画でオープン・リニューアルした店舗のイメージ路ロゴ集

川崎のオープンから2年半を置いて、Apple銀座が建て替えのために仮店舗に移転しました。
これは積極的なリニューアルというよりは、ビルの建て替えに伴う、致し方ない措置でしょう。

Apple銀座の仮店舗への移転告知

日本で2番目に古い「心斎橋」と、3番目に古い「名古屋栄」は、リニューアル改装されることもなく、いまもオールドスタイルのままです。
「5年以内に」とした計画は、実質「2年以内」で終わっています。

こうして振り返ってみると「5年計画」は、2020東京オリンピックに向けては動いたものの、その後は計画が見直されたような印象を受けます。

2019年末から世界を襲った、コロナ禍の影響による直営店計画の見直しがあった可能性もありますが、そうではない気がします。
お隣の国・韓国では、平昌オリンピック開催直前の2018年に最初のApple Store(カロスキル)がオープンしてから、21年2月(汝矣島)、22年4月(明洞)、22年9月(蚕室)、23年3月(江南)と、立て続けにオープンしています。
日本の5年計画よりも積極的なぐらいです。

計画の見直しがあったとしたら、Appleの直営店担当役員の交代が、主な要因でしょう。
5年計画を表明したのは、当時の直営店担当の上級副社長だった、アンジェラ・アーレンツ氏でした。
アーレンツ氏は2019年4月に退職し、役職をディアドラ・オブライエン氏が引き継ぐことが、同年2月に発表されています。
5年計画表明の1年後のことです。

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今後の日本のApple Storeはどうなる?

オブライエン氏の就任後のApple Storeの展開を見ると、前任者の計画を保留して、むしろ韓国に重点を置いたように感じます。
でもそろそろ、保留にしていた日本での展開を再開すると期待しています。

オブライエン氏は3月末に、韓国の最新店舗Apple江南のオープンに立ち会ったあと、帰国前に日本に立ち寄ったようです。

Forbes JAPAN(弓月ひろみ氏)と、YouTuberの平岡雄太氏が、国内メディアとしてオブライエン氏にインタビューを行なっています。

平岡雄太氏は、日本にApple Storeを増やす計画はあるか? と聞いてくれています。
下の埋め込み動画で、該当箇所から再生されます。
例によってあいまいな回答しかないのですが、日本のユーザーが直営店を望んでいるのを伝えてくれたことが嬉しいです。

今後の動きではっきりわかっているのは、Apple銀座の、本当の改装オープンです。
銀座3丁目のサヱグサビル本館が建て替えられたあとに、現在入居している8丁目の仮店舗から戻ってくることになっています。
サヱグサビル本館の完成は来年末、2024年12月とアナウンスされています。

昨年末には、Appleのティム・クックCEOとグレッグ・ジョズウィアック氏が来日し、熊本・東京・福井を行脚しています。
日本のサプライヤーへの投資を加速」とアピールするニュースリリースも出されました。
Apple銀座のリニューアルに誘発されるように、心斎橋と名古屋のリニューアルや、新しい地域への出店、札幌と仙台の復活も起こり得るでしょう。

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